修士2年・益子遼祐氏による原著論文がAdvanced Photonics誌にて出版されました! 近年活発に研究されている光コンピューティングは,演算規模の拡大性とデバイスの集積性に関する課題を抱えており,スケールアップに適した新たな演算の手法の提案が望まれています.本研究では,小型光学系を用いて大規模並列論理演算が可能な全光コンピューティングの新手法である「Diffraction Casting」を提案し,これまで困難とされてきた16種の256ビット並列論理演算を可能にしたほか,本手法の高い集積性,拡張性,実用性を数値実験により明らかにしました.なお本研究成果は,東大情報理工学系研究科のHPにて
プレスリリースされています.
R. Mashiko, M. Naruse, R. Horisaki: Diffraction casting, Advanced Photonics, Vol. 6, Iss. 5, 056005, October 2024.
NOLTA, IEICE誌にて原著論文が出版されました! 従来研究において軌道角運動量 (OAM) の重ね合わせを持つ光子を用いた集団意思決定システムが提案されていましたが、そこでは限られた確率的意思決定しかできませんでした。そこで本研究では拡大行列法 (enlarged matrix method) を導入し、可能な確率的意思決定の範囲を広げました。また、ゲーム理論の相関平衡にこのシステムを適用し、可能な均衡を数値的及び理論的に説明しています。
H. Shiratori, A. Röhm, T. Mihana, R. Horisaki, M. Naruse: Enlarged matrix method for stochastic decision making using orbital angular momenta
Optics Express誌にて原著論文が出版されました! ゼルニケ位相差顕微鏡法は実用的な手法ですが、非定量な部分が存在しています。定量的位相イメージングと組み合わせることで、ハードウェアの変更をせずに定量的な位相を取得する方法を提案しました。
R. Kurata, K. Toda, G. Ishigane, M. Naruse, R. Horisaki, and T. Ideguchi : Single-image phase retrieval for off-the-shelf Zernike phase-contrast microscopes
Scientific Reports誌にて原著論文が出版されました! 今までの複数人のプレーヤにおける意思決定では意思決定を行うことで均一な報酬を得られていましたが、元からある格差に対して対処することはできませんでした。倫理や公平性の世界的な課題を考慮するとこのような格差に意思決定システムが対応できることは必須です。本研究では量子もつれ光子や干渉を利用して非対称の実現を実証しました。
H. Shiratori, H. Shinkawa, A. Röhm, N. Chauvet, E. Segawa, J. Laurent, G. Bachelier, T. Yamagami, R. Horisaki, and M. Naruse: Asymmetric quantum decision-making
AIP Chaos誌にて原著論文が出版されました! リザーバコンピューティングは簡潔な学習則において優れた性能を発揮する機械学習システムとして注目され、カオス時系列の自律的再生などの新機能も示されています。一方、リザーバコンピューティングを現実の物理システムで実現する際に不可欠な「サンプリング」については十分な知見が得られていませんでした。本研究は、過剰に粗及び過剰に密なサンプリングが、リザーバコンピューティングの性能を劣化させることを示し、その背後にあるメカニズムを考察しました。
K. Tsuchiyama, A. Röhm, T. Mihana, R. Horisaki, and M. Naruse: Effect of temporal resolution on the reproduction of chaotic dynamics via reservoir computing
Entropy誌にて原著論文が出版されました! 量子ウォークを用いたバンディットアルゴリズムを提唱し、古典ランダムウォークより優れた性能を示すことを実証しました。量子ウォークは「拡散性」と「局在性」という古典ランダムウォークにはない特徴的性質を備えます。本研究は拡散性をバンディット問題における「探索 (exploration)」に、局在性を「活用 (exploitation)」に応用するという新概念を基礎としています。
T. Yamagami, E. Segawa, T. Mihana, A. Röhm, R. Horisaki, and M. Naruse: Bandit Algorithm Driven by a Classical Random Walk and a Quantum Walk
AIP Chaos誌にて原著論文が出版されました! マルチスケールエントロピー (MSE) とアラン分散 (AV) は、それぞれ異なる用途と異なる動機付けから発展してきた概念ですが、複数の時間スケールを伴う現象への関心という点で共通しています。本論文は、レーザーカオスにおける低周波不規則振動や心拍に関わるデータの MSE と AV が類似した特性を有することを示すとともに、この類似性の背後にあるメカニズムを情報理論的考察から解明しました。マルチスケールダイナミクスはフォトニックコンピューティングなどの重要なリソースでありその基盤を与えます。
N. Asuke, T. Yamagami, T. Mihana, A. Röhm, R. Horisaki, and M. Naruse: Information-theoretical analysis of statistical measures for multiscale dynamics
Optics Letters誌にて原著論文が出版されました! 単一の空間光変調器 (SLM) の「両面」にホログラフィを提示する「Double-sided computer generated holography」の原理を提案し、実験で実証しました。 片面のホログラフィは透過型のSLMを1回透過、他方の面のホログラフィは2回透過するというアーキテクチャを提案し、独自の設計原理により空間光変調を実現しています。Augmented reality などへの応用が期待されます。
R. Suda, Y. Nishizaki, M. Naruse, and R. Horisaki: Double-sided computer-generated holography, Optics Letters
Complexity誌にて原著論文が出版されました! 複数のエージェントの選択競合を回避すると同時に、各エージェントの確率的選好性を完全に充足させることができる条件を解明しました。 また、エージェントの確率的選好性を完全に満たすことができない場合に、系全体のロス(選好性との乖離度合)を最小とする構成方式を示しました。 本論文は既に刊行されている Physical Review Applied 誌での論文の数学的基盤を与えます。
H. Shinkawa, N. Chauvet, G. Bachelier, A. Röhm, R. Horisaki, and M. Naruse: Optimal Preference Satisfaction for Conflict-Free Joint Decisions
Journal of Applied Physics誌にて原著論文が出版されました! フォトクロミック材料は光によって可逆的に色が変わるというメモリ機能だけでなく、ミクロにおける分子構造の変化がマクロにおける形態変化を引き起こし、多様な不連続的形態変化を示す点も特徴で、今後のシステム応用が期待されています。本論文ではツバメの尾のカタストロフィーを用いた統一的モデル理論を提唱し、また、従来知られていなかったフォトクロミック現象の示唆を与えました。本論文は同誌の Editor's Pickに選出されました。
H. Suzui, K. Uchiyama, K. Uchida, R. Horisaki, H. Hori, and M. Naruse: Mathematical modeling of morphological changes in photochromic crystals by catastrophe theory
Physical Review A誌にて原著論文が出版されました! 量子ウォークはその優れた拡散性などから探索などへの応用も活発に研究されていますが、基本的な特性についても未解明な部分が様々に存在しています。本研究は、離散時間1次元量子ウォークにおいて、それを規定するコイン行列や初期状態によらず、一定の共通した骨格構造が存在することを弱収束などの概念を用いて明らかにしました。さらに、骨格構造に従う古典ランダムウォークを提案し、量子ウォークに類似した性質を示すことを見出しました。
T. Yamagami, E. Segawa, K. Tanaka, T. Mihana, A. Röhm, R. Horisaki, and M. Naruse: Skeleton structure inherent in discrete-time quantum walks
Physical Review E誌にて原著論文が出版されました! 半導体レーザーが示す複雑なダイナミクスは、リザーバコンピューティングなどに見られる新たな計算原理の基盤として活発な研究が行われています。しかし、低周波不規則信号 (LFF) と呼ばれる高速な振動と低速な振動ーマルチスケールなダイナミクスーが混在した複雑なカオス現象の検出と評価を系統的に実現する方法は未だ確立されておらず、基礎研究の進展、光デバイスの評価、新たなシステム原理の創成などの観点から、ダイナミクスを自動的に識別できる新たな手法が望まれていました。本研究はアラン分散に基づく新たな定量指標を提案し、従来のパワースペクトルによる方法との比較優位などを示しました。
N. Asuke, N. Chauvet, A. Röhm, K. Kanno, A. Uchida, T. Niiyama, S. Sunada, R. Horisaki, M. Naruse: Analysis of temporal structure of laser chaos by Allan variance
Entropy 誌にて原著論文が出版されました! システム内の大量の要素をペアにする問題ーPairing optimization problemーは、Beyond 5G における非直交多元接続(NOMA)など多くの応用で重要ですが、要素数の増大に対して可能なペアの数が爆発し、システムとしてよい性能を示すペアを瞬時に求めることは容易ではありません。本研究は、ペアリング問題に内在する代数的構造を示した上で、その構造を活用し、よりよいペアリングを実現できる問題変換手法を提案し、数値実験により実証しました。
N. Fujita, A. Röhm, T. Mihana, R. Horisaki, A. Li, M. Hasegawa, M. Naruse: Pairing Optimization via Statistics: Algebraic Structure in Pairing Problems and Its Application to Performance Enhancement
国際会議 The 9th Japan-Korea Joint Workshop on Complex Communication Sciences (JKCCS) にて土山晃平さんと服部嗣生さんがそれぞれ Best Paper Award を受賞しました!
K. Tsuchiyama, A. Röhm, T. Mihana, R. Horisaki and M. Naruse: Influence of sampling frequency in autonomous attractor reconstruction by reservoir computing, The 9th Japan-Korea Joint Workshop on Complex Communication Sciences (JKCCS 2023), (Korea, 2023.1.5)
T. Hattori, T. Mihana, R. Horisaki, M. Naruse, N. Shiga, S. Yasuda, and K. Takizawa: Experimental demonstration of delay-bounded optical communication based on precision time synchronization, The 9th Japan-Korea Joint Workshop on Complex Communication Sciences (JKCCS 2023), (Korea, 2023.1.5)
AIP Advances 誌にて原著論文が出版されました! 光と電子の融合に向けた協働研究(NICT・明治大・本学)の成果です。本論文は同誌の Editor's Pick に選出されました!
K. Wada, S. Hara, S. Tanoi, A. Kasamatsu, Y. Otsuka, K. Sekine, A. Uchida, M. Naruse: Ultrafast silicon threshold circuitry for chaotic laser time series
国際会議International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications (NOLTA 2022) にて白鳥帆香さんが Best Student Award、山上智輝さんが Student Paper Award をそれぞれ受賞しました!
H. Shiratori, H. Shinkawa, A. Röhm, N. Chauvet, G. Bachelier, J. Laurent, T. Mihana, R. Horisaki, and M. Naruse: Asymmetric collective decision making through quantum interference, Proceedings of the 2022 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications (NOLTA2022), pp. 389-392 (Online, 2022.12.13)
T. Yamagami, E. Segawa, K. Tanaka, T. Mihana A. Röhm, R. Horisaki, and M. Naruse: Skeleton structure inherent in quantum walks, Proceedings of the 2022 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications (NOLTA2022), pp. 446-449 (Online, 2022.12.14)
Physical Review Applied 誌にて原著論文が出版されました! 個々が複数の選択肢に関する確率的な選好性を有するなかで、選択競合が許されない状況においては、他者の選好性も考慮に入れた集団的な確率的意思決定を行う必要があります。本研究は、意思決定の競合を回避すると同時に個々の選好性を充足できる確率的意思決定を量子干渉を活用して実現しました。
H. Shinkawa, N. Chauvet, G. Bachelier, A. Röhm, R. Horisaki, M. Naruse: Conflict-Free Joint Sampling for Preference Satisfaction through Quantum Interference
Scientific Reports 誌にて原著論文が出版されました! 近接場光を用いてフォトクロミックナノ結晶中に形成した複雑な経路情報を活用して、順序構造認識を実証したという内容です。 シューベルトカリキュラスと呼ばれる数学にインスパイアされたアルゴリズムを提唱しています。 フォトクロミック材料と近接場光とシステムレベル研究の協働による成果です。(山梨大、龍谷大、東大らによる共著論文)
K. Uchiyama, S. Nakajima, H. Suzui, N. Chauvet, H. Saigo, R. Horisaki, K. Uchida, M. Naruse, H. Hori: Order recognition by Schubert polynomials generated by optical near-field statistics via nanometre-scale photochromism
Complexity 誌にて原著論文が出版されました! 量子重ね合わせを基礎として記述される1次元離散時間量子ウォーク(Quantum walk)は、古典的なランダムウォーク(Random walk)によって機能的等価物——量子ウォークレプリカ(Quantum walk replica)——を構成できることが知られていましたが、Quantum walk replicaを用いることではじめて可能になる洞察が得られていませんでした。本研究では、Quantum walk replicaならではの特質に着目し、量子ウォークの「方向性」(Directivity)に関する特徴を明らかにしました。具体的には、長期における移動方向の決定性、左右の移動確率、出発点への回帰確率などを明らかにしました。
T. Yamagami, E. Segawa, N. Chauvet, A. Röhm, R. Horisaki, M. Naruse, Directivity of Quantum Walk via Its Random Walk Replica
IEEE Access 誌にて原著論文が出版されました! 時刻同期を活用することで、遅延時間を保証できる新たなコミュニケーションのメカニズムを先行研究で提案していましたが、本研究は、実際の無線双方向時刻同期デバイスとソフトウエア無線機の合成系を構築し、実証実験を示しました。端末の移動(モビリティ)に対しても機能することを示しています。
H. Tanaka, Y. Yamasaki, S. Yasuda, N. Shiga, K. Takizawa, N. Chauvet, R. Horisaki, M. Naruse: Experimental Demonstration of Delay-Bounded Wireless Network Based on Precise Time Synchronization
Complexity 誌にて原著論文が出版されました! 負の時間相関を有する不規則時系列信号ーたとえば光カオス時系列などーを用いることで意思決定問題解決の加速が可能であることが先行研究で示されていましたが、そのメカニズムについては未解明となっていました。本研究は、相関付きランダムウォークを用いて独自の数理モデルを構築し、時系列の相関が意思決定性能に寄与する構造を明らかにしました。
N. Okada, T. Yamagami, N. Chauvet, Y. Ito, M. Hasegawa, M. Naruse: Theory of Acceleration of Decision-Making by Correlated Time Sequences
Journal of Physics Communications 誌にて原著論文が出版されました! 多数の状態間の状態遷移を伴う強化学習問題の解決において、各状態での行動選択をバンディット問題と見なし、問題全 体 を バ ン デ ィ ッ ト 問 題 の 並 列 構 造 と み な す 新 た な 手 法 —Parallel bandit architecture for reinforcement learning(PBRL)—を提案しました。実験の結果、Q学習よりも高速な学習が可能で、また光カオス時系列の特徴である時間相関構造が学習に寄与することが示されました。また、状態の探索の様態がQ学習と対称的であることを示しています。
T. Urushibara, N. Chauvet, S. Kochi, S. Sunada, K. Kanno, A. Uchida, R. Horisaki, M. Naruse, Parallel bandit architecture based on laser chaos for reinforcement learning
IEEE Access 誌にて原著論文が出版されました! システム内の大量の要素を瞬時に「ペア」にする問題ーPairingーは、Beyond 5G における非直交多元接続(NOMA)など多くの応用で重要ですが、要素数の増大に対して可能なペアの数が爆発し、システム全体として「よい」性能を示すペアの組み合わせを求めることは容易ではありません。本研究では、要素間の相性(コンパチビリティ)を効率的に観測するアルゴリズムを提案するとともに、ペアリングを独自に提案した3層のグラフ構造における巡回セールスマン問題に変換することで、よいペアリングを高効率に発見する手法を提案しその実証に成功しました。
N. Fujita, N. Chauvet, A. Roehm, R. Horisaki, A. Li, M. Hasegawa, M. Naruse, Efficient Pairing in Unknown Environments: Minimal Observations and TSP-based Optimization